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附箋を剥がす(33)

先日も取り上げた、幸田文『ふるさと隅田川』(ちくま文庫)より。

ちよつと見には水と闇は別ちがたく一帯に暗く、しかしよく見ると河心のあたりにはありとしもなく光が漂つてゐる。(「燈籠流し」P57)


「河心」ということばが目に付いたのでメモしておく。

水垢のついた古杭にならんで、新しい大小の塔婆が立てられ、枝つきのまゝの竹にはそまつな切子燈籠と樒が結ひつけられてゐる。(「せがき」P60)


「結びつけられて」ではなく「結ひつけられて」。語感が美しい。

水罰があたる」といういましめの言葉は、もうすっかり消えてしまったようである。私自身のことでいえば、今から五十年まえの、はたちの頃からきかなくなった。(「みずばち」P74)


「水罰(みずばち)」ということばは、確かに、聞いたことがない。が、魅力的なことばである。水を粗末にした時に言われる「おまえに水がこしらえられるか。」という叱りのことばも、趣深い。
ちなみに、この作品が発表されたのは1977年。その「五十年まえ」は、まだ昭和になったばかりの頃のことである。

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